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ハニーハニーキス オーナー・山崎視代佳とは?開業から閉業までの全真相

By Leah Mitchell

東京・目黒の静かな住宅街に、一つの小さな焼き菓子店が誕生したのは2017年2月のことだった。その名も「Honey×Honey xoxo」、通称ハニーハニーキス。無添加・砂糖控えめをコンセプトにした「隠れ家的スイーツ店」として、地域の人々や健康志向の菓子好きから少しずつ支持を集めていった。しかし2023年秋、この小さなお店は日本中で話題になる。それも、誰も望まない形で。

東京の小さな焼き菓子店のイメージ

ハニーハニーキスとはどんな店だったのか

目黒区中根にある隠れ家的な焼き菓子店で、2017年2月25日に開店したこのお店は、控えめな甘さが特徴で、具だくさんのマフィン、クッキー、バナナパウンドケーキなどを製造・販売していた。東急東横線の都立大学駅から歩いてわずか3分という好立地にありながら、派手な看板も大きな広告もない、知る人ぞ知る存在だった。

無添加・防腐剤不使用の焼き菓子店として、離乳食完了期のお子様から食べられる優しい味わいのマフィンやスコーンを提供していた。こういったコンセプトは、食品添加物を避けたい子育て世代や、健康を気にする消費者の心に刺さった。SNSには手作り感あふれる写真が並び、温かみのある雰囲気が評判を呼んでいた。

ハニーハニーキス オーナー・山崎視代佳とはどんな人物か

ハニーハニーキスのオーナーは山崎視代佳(やまざきみよか)さん。2017年2月25日の開業当初から店を切り盛りし、二人の息子の子育てをしながら焼き菓子店を経営してきた。当時40歳前後とされる彼女は、仕事と育児を両立させながら、家族のそばで自分のビジネスを育てた。その姿は、多くの小規模事業者や主婦起業家に共感を与えた。

山崎さんはほぼワンオペで製造と経営を担っており、全て一人で行っていたと言われている。大量生産ではなく、手作りにこだわった小ロット製造が店の売りであり、それが「家庭的な温もり」として受け入れられていた。しかし、その小さな規模感と手作り体制が、後に深刻な問題の温床になるとは、誰も予想していなかっただろう。

初代オーナーから2代目へ、店の「世代交代」の裏側

実は山崎視代佳さんは、この店の「最初の作り手」ではなかった。ハニーハニーキスがオープンした当初は母親が初代オーナーとしてメインの作り手を担っており、2019年12月に親の体調不良を理由に、まだ技術を十分に受け継いでいない娘に交代したとされている。

初代オーナーの味は確かに評判が良かったとのレビューも少なくないだけに、突然の交代でその味を2代目オーナーが上手く引き継ぐことができなかったのかもしれない。技術の継承というのは、レシピを渡すだけでは済まない。焼き加減の微妙な差、素材の選定基準、季節ごとの湿度への対応。長年の経験から生まれた「感覚」は、数週間で習得できるものではない。

2019年末以降、SNS上の口コミには少しずつ変化が見え始めた。一部のユーザーから「味が変わった」「以前と違う」という指摘が増え始め、品質に関する疑問符が静かに積み重なっていった。それでも山崎さんは懸命に店を続け、各種イベントにも積極的に出店していた。

デザインフェスタ東京ビッグサイト出店イメージ

デスマフィン騒動の発端:2023年11月のデザインフェスタ

転機は2023年11月11日から12日、東京ビッグサイトで開催された大型アートイベント「デザインフェスタvol.58」だった。イベント後、この店のマフィンを購入した人がSNS上で「変な味がした」「糸を引いていた」「変な臭いで吐き出した」などといった投稿をし、さらに具合が悪くなったとの報告も寄せられた。

デザインフェスタvol.58において「Honey×Honey xoxo」という店舗が販売していた飲食物を召し上がられた方から体調不良が発生する事態となった。このツイートがデザインフェスタ公式アカウントから発信されると、一気に拡散。「デスマフィン」というショッキングな呼称がSNS上で広まり、店名は一夜にして全国に知られることになった。

この食中毒事件では、マフィンを食べた人の中に腹痛・下痢・吐き気などの症状を訴えた人がいた。マフィンの賞味期限は製造日から5日後となっていたが、実際には製造日から10日以上経っていたことが判明した。また、マフィンは常温で保存されており、脱酸素剤も入っていなかった。無添加・保存料なしというコンセプトが、適切な保管管理なしには逆にリスクを高めるという、皮肉な結果を招いた形だ。

オーナーの初期対応:批判の中で誠実に動いた

炎上が拡大する中、山崎視代佳さんの対応は比較的迅速だった。事態を重く受け止めた山崎さんは、翌13日の当日中に自身のSNSで謝罪と今後の対応を表明し、行政機関への相談を即日実施することを報告した。

店としては、デザインフェスタvol.58の出店ブースで販売した9種類のマフィンについて、購入者・喫食者・主催者等関係者へ多大なご迷惑とご不安をおかけしたことを心よりお詫び申し上げるとの声明を発表し、保健所の原因調査に誠実に協力を進めてきた。

個人経営の小さな店が、大企業さながらのスピードで謝罪と対応に動いた点は、多くのメディアや消費者からも一定の評価を得た。しかし、インターネット上の批判の波は止まらなかった。SNSアカウントへの誹謗中傷が殺到し、「逃亡した」「返金を拒否した」という事実無根の情報まで拡散されていった。

食品衛生検査・保健所対応のイメージ

「逃亡説」はデマだった:保健所調査への協力と返金対応の実態

騒動が大きくなるにつれ、ネット上では「山崎視代佳逃亡説」まで浮上した。しかし実態は全く異なった。騒動当時の「逃亡説」も、実際には保健所の調査に誠実に応じていたことが報じられており、これはいずれも公式な根拠に基づくものではなかった。

2代目オーナーの山崎視代佳さんは、騒動後に日本中からバッシングを受け、全SNSの閉鎖に追い込まれたことから「返金に応じずに逃亡した」とも言われていたが、実際はしっかりと返金対応をしており、被害に遭われた方への対応に応じていた。

SNSアカウントを閉じることと、責任から逃げることは、全く別の話だ。連日の誹謗中傷に晒された個人が、精神的な自衛のためにSNSを閉鎖するのは自然な判断とも言える。にもかかわらず、アカウントの消滅が「逃亡の証拠」として拡散され続けたことは、現代のデジタル社会における情報リテラシーの問題を鋭く問いかけている。

閉業の決断:再開なし、現在の状況は

洋菓子店「Honey×Honey xoxo(ハニーハニーキス)」は、2023年11月にデザインフェスタで販売されたマフィンが原因とされる食中毒問題を受け、すでに完全に閉業している。営業再開の事実や具体的な予定は一切ない。

東京都目黒区のこの店舗は、2023年11月21日をもって閉店している。6年以上にわたり積み上げてきたブランドが、一つのイベントで幕を閉じた。食品安全の問題がひとたび発生すると、いかに個人経営の小さな店に致命的なダメージを与えるか、この事例は生々しく示している。

オーナー店主の山崎視代佳氏については、閉業後の現在の生活状況に関する詳細な情報は公表されていない。山崎氏は一般人であり、プライバシー保護の観点から詳細な状況は明かされていない。また、店主とは無関係な第三者が作成した偽のホームページが存在することも判明しており、情報には十分な注意が必要だ。

この騒動から見えてくる食品安全の本質的な問題

ハニーハニーキスの問題は、単なる一個人の失敗として片付けるには惜しい教訓を含んでいる。「無添加」「自然派」「手作り」というキーワードは消費者の信頼を集めやすい反面、保存料・防腐剤に頼らない分、製造・保管・流通の各段階における衛生管理がより厳密に求められる。

ハニーハニーキスのオーナーの知識不足・管理不足が疑われているが、そもそも無添加のお菓子や砂糖控えめだと腐敗しやすいという認識が薄れていたのではないか、という指摘もある。食品添加物を使わないことは、それ自体は消費者の利益になりうる選択だ。しかし、添加物の役割を代替する衛生知識と管理体制が伴わなければ、むしろリスクが高まる。この矛盾は、個人経営の食品店全体に共通する課題でもある。

さらに、この騒動は「ネット炎上のあり方」という別次元の問題も浮き彫りにした。確認されていない情報がSNSで瞬時に拡散し、一個人の生活を破壊するほどの影響力を持つ現代。ハニーハニーキスの件では、保健所の調査に協力していた事実よりも、「逃亡した」という誤情報の方が長く広く信じられていた。

SNS炎上とオンライン評判管理のイメージ

ハニーハニーキス オーナーをめぐる情報の取り扱いに注意

インターネット上には「ベビーシッターをしている」といった未確認の噂が流れたり、「逃亡した」という誤った情報も一部で広まっていたが、これらはいずれも公式な根拠に基づくものではない。特に逃亡説については、実際には保健所の調査に誠実に応じていたことが報じられている。

山崎視代佳さんは企業のCEOでも公人でもない。二人の子を育てながら焼き菓子店を営んでいた、一般市民だ。失敗は確かにあった。衛生管理の知識や体制が不十分だったことも否定できない。しかしそれは、刑事事件の犯罪者として扱われるべき問題とは本質的に異なる。この状況は、現代社会において個人が直面するデジタルタトゥーの問題や、安易な憶測やデマが拡散されることの危険性、そして情報の受け手が持つべき高い情報リテラシーの必要性を強く示唆している。

ハニーハニーキスが残した教訓

2017年から6年以上、東京目黒の片隅で手作りスイーツを届け続けたハニーハニーキス。その歴史は、2023年11月のデザインフェスタ以降、急速に幕を引くことになった。オーナー・山崎視代佳さんにとっても、顧客にとっても、望んだ結末ではなかったはずだ。

食品安全の徹底、衛生管理の知識習得、そして世代交代時における技術継承の重要性。これらはどれも、個人経営の食品ビジネスが避けて通れないテーマだ。同時に、SNS上の情報を鵜呑みにせず、一次情報と公式発表を確認する姿勢が私たち消費者にも求められている。店主とは無関係な第三者が作成した偽のホームページが存在することも判明しており、ハニーハニーキスに関する情報には細心の注意が必要だ。

小さな焼き菓子店の物語は、食の安全とデジタル社会の怖さ、そして個人が持つ脆弱性を同時に教えてくれる。ハニーハニーキスというひとつのブランドの興亡は、今も多くの人の記憶に刻まれている。